【試合前プレビュー】2024-25 WEリーグ クラシエカップ GS 第1節 – 大宮アルディージャVENTUS vs 日テレ・東京ヴェルディベレーザ

長いオフシーズンが明けて、ついにWEリーグの24-25シーズンが明日幕を開けようとしています。

今シーズンは大会期間に変更があり、WEリーグカップとWEリーグが同時並行で進んでいく形になりました。そのせいもあって、今シーズンは明日の開幕戦から年末まで、毎週末になんらかの大会の試合が行われるスケジュールになっています。

そればかりか平日開催の試合も3回ほど行われるので、ほとんど過密日程と言っても過言ではない濃度の高い期間になることが予想されています。

さて、明日から開幕するWEリーグカップですが、ホーム&アウェイ形式で11月頭までに6試合を戦うスケジュールとなっています。私の応援する日テレ・東京ヴェルディベレーザはグループAに所属しており、同組には以下の3チームがいます。

・大宮アルディージャVENTUS
・AC長野パルセイロ・レディース
・サンフレッチェ広島レジーナ

この3チームに加えて、ベレーザを加えた4チームでグループリーグ突破を争います。

グループリーグを抜けると、準決勝から決勝へと駒を進める権利を得ることができますが、昨日リリースされた情報によると、準決勝の舞台は長崎県を本拠地とするJリーグクラブである、V・ファーレン長崎の新しい本拠地でもある「ピースタ(PEACE STADIUM Connected by SoftBank)」にて開催されることが発表されております。

「WEリーグクラブの本拠地でもない都道府県で、九州エリアにはWEリーグクラブもないのに長崎開催なんだと」という声も少なくはないようで、その意見の一つには代表理事・髙田春奈氏の関係性が関わっているのではないかとも言われているようですが、真偽は不明です。

しかし、個人的には新しく建築されたサッカー専用スタジアムに行く機会があるというのは、嬉しかったりもするので、ぜひともグループリーグは突破してもらいたいなというのが本音です。

開幕戦前ということもあって、少し概要的な話もしてしまいましたが、明日の試合に向けての個人的な見どころなどを簡単にまとめてみたいと思います。

試合前プレビュー

  • タイトルを狙うベレーザ

昨シーズンのベレーザは、リーグおよびカップ戦を無冠に終わってしまったシーズンとなりました。

先日ベレーザ公式から公開された動画の中で、村松キャプテンも「総力戦にはなるが全員でタイトルを取れるように」と語り、今シーズンからチームに復帰した小林里歌子選手も「タイトルや優勝と願いを込めた」と語っているように、選手たちからもその悔しさが滲み出ていることが分かります。

また、つい先日WEリーグ公式によって公開された、土方麻椰選手と柏村菜那選手のインタビュー動画の中でも「先輩たちが抜けた穴を埋めるだけではなく、それを超えないといけないと思っていて、それでベレーザが弱くなってしまったと思われるのはあってはいけないこと」という旨の話をコメントしていました。

下部組織出身の若い選手たちも、強い思いを持って戦うことがチームの共通認識になっているように思います。

私の個人的な意見としても、まずはWEリーグタイトル・WEリーグカップと、WEリーグが開始してからいまだに獲得できていないタイトルを目指して貰いたいなと思っています。

  • 大宮アルディージャVENTUS

そうした思いを選手やファンたちが抱えながら迎える明日のWEリーグカップ開幕ですが、対戦相手である大宮アルディージャVENTUS(以下、ベントス)は今季オフに大幅な血の入れ替えをしたクラブでもあります。

ベントスの公式サイトには、ベレーザ戦に向けてのプレビュー記事があがっていました。

https://www.ardija.co.jp/ventus/match/242201/?tab=preview

そこで多くの選手たちが語っているのは「若い選手が多い」ということ。昨シーズンの主力メンバーであるディフェンス陣は、契約満了や引退によって大幅な入れ替えが起きているからの言葉でしょう。

確かに昨年のベントスを見る限り、チーム全体としてやりたいことが明確ではあるものの、ディフェンス陣の年齢層が高いことも起因してか、フレッシュなドリブラーたちにサイドの覇権を取られる試合も何度か見かけました。

そういった意図なのか、年俸を支払いきれなくなってしまったのか等、詳しい理由については推測の域を出ませんが、その代わりとして25〜27歳ぐらいの複数の即戦力の獲得に成功しています。

そんなベントスのトレーニングマッチの結果をまとめてみました。

7月26日vsニッパツ横浜FCシーガルズ
3 〇 1 (1-0/1-0/1-1) 
■得点者
阪口萌乃
船木里奈
箕輪千慧

8月3日vsFCふじざくら山梨
6 〇 0 (2-0/0-0/4-0) 
■得点者
阪口萌乃
北川愛莉
船木里奈
牧野美優
練習生
船木里奈

8月12日vs網走南ヶ丘高校
7 〇 0 (2-0/5-0)
■得点者
鈴木日奈子
井上綾香
井上綾香
船木里奈
練習生
井上綾香
金平莉紗

8月18日vsスフィーダ世田谷FC
1 ● 2 (0-0/1-1/0-1)
■得点者
船木里奈

8月24日vs十文字高校
4 ○ 1 (2-0/0-1/2-0) 十文字高校
■得点者
仲田歩夢
平井杏幸
練習生
船木里奈

※全て大宮アルディージャVENTUS公式サイトに公開された情報から引用

公式サイトには5試合分のトレーニングマッチの結果が公表されていましたが、スフィーダ世田谷FC戦をのぞいて全て複数得点での勝利をしています。

限られた情報しかありませんが、船木里奈の得点が多いことが分かりますね。船木里奈は昨シーズンから移籍加入してきた選手ではありますが、リーグ戦での得点は2得点といまいち振るわずの結果に終わってしまいました。

しかし、数字以上に存在感のある選手で、ボールを持ってからの展開力もあるタイプのストライカーといった印象が強い選手です。昨シーズンはベントスの絶対的なエースである井上綾香と上手い連携を見せて、2トップを組んだ時間も長い選手でした。

そんな船木が爆発の兆しを見せている良い状態である点については、少し警戒が必要になってくるかもしれません。

また、失点数はあまり参考にならない部分もありますが、ここまでの5試合で最低限の失点数には抑えられているのかもしれません。

これは個人的な感想でもあるのですが、NACK5スタジアムで行われるベントス戦では徹底した守備を打ち崩すのに時間がかかり、なんとか打ち崩して勝利をする試合が多い印象にあります。

明日の試合も、大宮の守備に苦しむ展開になるのではないかと予想していますが、それを打ち崩すためにはベレーザの選手たちの高い技術力とアイデア力を最大限に発揮する必要があるように見えています。

  • 日テレ・東京ヴェルディベレーザ

ベレーザからすると苦しみながらも勝利をする展開の多いNACK5スタジアムでのアウェイゲームになります。

昨シーズンのリーグ戦最終戦では、三菱重工浦和レッズレディーズを相手に3点を奪ったものの、最終的には3-3のドローで終える悔しい形で公式戦を終えており、タイトルを狙うチームにとって、この試合には並々ならぬ思いがあるはずです。

個人的に注目をしているのは、その最終節で取り組んだ菅野奏音を中盤の低い位置ではなく、やや高めのポジションを取らせて攻撃に参加させるのかどうかというポイントです。

現在、ベレーザのFWの一番手になりそうなのは、昨シーズン途中加入した鈴木陽であると予想しています。

昨シーズンは「ゴール期待値がリーグ上位にも関わらず得点数が伸びなかった」という不名誉な記録を叩き出してしまったものの、彼女のフィジカルや得点能力の部分では、引いて守る相手に対して非常に有用な能力を持っています。

そんなゴールに飛び込む推進力のあるストライカーを上手く使うことができるのは「感覚派」である菅野奏音のアイデア力に大きく左右されるのではないかと考えています。

開幕戦前ということもあり、さらに先日実際にトレーニングマッチを見に行ったこともあり書けることが限られてしまっているのですが、個人的に一番注目してるのはこのあたりのポイントです。

カメラ論争

試合の内容については、何試合か消化をして今シーズンを占える体制にならないと何とも言いようがないですが、ここで少し脱線した話をしてみたいと思います。

つい先日、ベレーザ公式からこんなリリースがされました。

なんの変哲もないようなリリースであるように見えて、試合当日の幕張りのスケジュールなどを記載してあるものに見えますが、このリリースがベレーザ界隈で大きな波紋を呼びました。

その中身に、とても簡略して書くと「試合運営の妨げになるため望遠レンズは禁止!」という旨の文言が記載してあったのです。

この記載は過去の観戦ルールを読み込んでいる私からすると、今シーズンから初めて記載があった内容であることは確かで、望遠レンズを使っての撮影においてなんらかのトラブルがあった、あるいは選手側からのクレームがあった結果としてこのような記載があったのではないかと考察しました。

WEリーグ公式サイトには、大まかに言うと「動画はダメ!写真はOK!SNS投稿もある程度はOK!」という記載もあり、WEリーグは写真を使ってリーグを盛り上げていく人を増やしていきたいという意図があるとうなリリースを出しています。

「クラブ単位でそれの幅を規制(望遠レンズの使用禁止)してしまってはリーグのリリースは意味がなかったのでは?」という気持ちもありつつ、先日のパリオリンピック大会中にはXなどのSNSを中心にセクハラと取られかねないような選手の写真が大きく拡散をしてしまった等のウーマンフットボールにおいて好ましくない事象が起きてしまった事も事実です。

また、それは一例であるとしても、望遠レンズを使用しての写真撮影が運営の妨げになるかと言われると、100%の確度でNOと言えないのも事実です。

私がかなり大きめな望遠レンズを抱えてスタジアムに行っている立場なので、望遠レンズの使用禁止に対して否定的な立場に立ってしまうのは私的な偏りが入ってしまっているのは承知の上で、このリリースに対して否定的な声が出てきたのは気持ち的には理解できる意見だったのかなと思います。

今回のリリースで出てきていた「望遠レンズ使用禁止」の理由として述べられていた、「試合運営の妨げになる」というのは、言われてみれば100%否定することができないことではあるものの、本当にそうか?という気持ちもなかった訳ではありません。

望遠レンズを使用してできる限り周囲の邪魔にならないようにスタジアムの最前列の通路側(もっとも自由度の高い席)を確保している人もいるように、一概にそれが試合運営の妨げになるとリリースされたのはかなり気持ちが落ち込みました。

ただ、先述したようにウーマンフットボールについては、好ましくない写真が撮られてしまうことを避けたい意図があるのかもしれません。

この「WEリーグが目指したいもの」「クラブが避けたいこと」「サポーターたちが望んでいるもの」の上手い落としどころはもっとあったのではないかという気持ちからくる、リリースに対しての違和感はありました。

ちなみに

結果的にはこのリリースは「周りに迷惑がかからないようにするならいいよ!」という感じに修正をされて、よかったよかったと終わった話ではあります。

ただ、今回の件で「カメラ小僧たちはいくらでもお金を払うから、もっと写真の環境が良いところで撮らせてくれよ」という気持ちが出てきたことも事実です。

例えば、私なんかはメインスタンドの最前列から毎試合観戦をしつつ写真を撮っているのですが、今回のように望遠レンズ禁止のリリースが出た時に「望遠レンズ禁止はいいんだけど、それだったらカメラマン専用シートを作って写真の検閲をしてもいいから撮れる環境を用意してくれよ」と思ったのが事実でした。

同じように、WEリーグクラブにおいては無闇矢鱈に望遠レンズ禁止をするのではなくて、金払いも良いカメラ小僧たちを上手く収益構造に取り込んでWin-Winな関係を築けるようにしてもらえると嬉しいなと思っています。

ノジマやエルフェンなどの陸上競技場をホームスタジアムとしてる会場については、1万円払うのでゴールの裏側から写真を撮れるようにしてくれると喜んでお金は払います。

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